案内記事>>  出典:NEDIA通信No.05

■NEDIA・JAST 部会主催「第二回勉強会」を開催

「2014年以降の半導体業界の動向」

   2014 年 2 月 24 日(月)13:00-から、御茶ノ水めっきセンター4階会議室において、JAST 部会主催の「第二回勉強会」を開催 しました。

講演会場の様子

講演会場の様子

 定員 60 名の会場を準備しましたが、ほぼ満席の中で開催させていただくことができました。

   司会は NEDIA 事務局次長の小林鬨司氏が務め、「第二回勉強会」を開始しました。

   最初のご講演は、「半導体業界の見方」と題し、BNP パリバ証 券㈱株式調査部シニア・アナリ ストの山本義継氏にご登壇いた だきました。

 BNP パリバ証券㈱シニア・アナリスト   山本義継  氏

BNP パリバ証券㈱シニア・アナリスト 山本義継 氏

ご講演の内容は、電子機器市場の動向、半導体市場の伸びる 余地はどこにある?、半導体製造装置市場と半導体材料市場の見方、「value」、「price」のマッチングで各テーマの分析・見方について詳細にご説明いただきました。

 まず電子機器市場については、2013 年の売り上げは、前年比で 伸びているのはスマホのみで全体は前年比横ばいの水準であり、 また米国の小売高に占める電気 製品売上比率も最近低下してき ており、GDP 成長率に対して電子機器の伸び率が同程度に低下 してきたことを示されました。

◯ PC 市場は、新興国のマイナ ス成長、タブレットへの移行等 でマイナスの伸びとなっているが、2014 年度以降は、企業による置き換え需要、新興国の下げ止まりにより、マイナス幅は縮 小するとの見通しを述べられた。

◯ タブレット市場は年間 2 億台に達し、PCを超える水準となり、またスマホも 10億台を突破し、中国でもスマホの比率が2014 年には 100%になることから、今までの高成長は続かなくなり、半導体市場の伸びへの影響の懸念を示された。

◯ 半導体市場の見方では、2014 年もメモリの伸びに依存し、通信向け、自動車向けは伸びる方向にはあるが、問題点として半導体搭載金額の増加が頭打ちになってきている実例を示された。   PC は MPU の処理能力の向上に従い DRAM 搭載容量は増加してきたが、2000 年代に入り頭打ちの傾向にあり、セルラー、スマホで 2000 年以降メモリ搭載容量が増加してきた。
スマホも 2013年から 2014年に高機能化一巡、APの高速化も一巡するので、次へのターゲットが必要との認識を示された。

◯  モバイルの 15年サイクルは端末から、クラウドやビッグデータの開始及びインフラ投資で 仕上げとなる。また次の30年の サイクルではウエアラブル(センサー)によるデータ吸い上げにより、インターフェース改善など従来と異なる需要増及び M2M(machine to machine) 、 IoT(internet to things)への期待を示された。

◯ 半導体製造装置市場に影響する各社の設備投資予想は、インテル、TSMC、サムスンの3 社で 70%を占めるが、2014 年は 増加に転じるとの見通しを示されました。

◯また、半導体材料は、 ほぼ横ばい傾向にあるが、後工程が増加しつつあり、前工程、 後工程の比率はほぼ同率となってきているとの話がありました。

◯ また、微細化鈍化、低消費電力化の動きで設備投資比率が下がってくるようにゲームのルールも変わってきており、さらに先端材料への付加価値シフト及び3次元技術等に技術も変化してきつつあるとのことで、2014 年 以降は後工程も含めた垂直統合的な技術開発が始まるとの説明ありました。

◯ 半導体装置メーカは前工程は、AMAT、ASML、TEL 等に寡占化されてきており、後工程も寡占化が進む傾向にあるが、寡占化してもシナジー効果は出ないものの、研究開発的には効果がありそうで、これは半導体産業の進化は、リソースの投入かつ回収の競争で、リソースを計画的に投入できることが、競争に勝ち抜く必要条件であることによるとの
説明がありました。

 最後に、2014 年以降は最大の技術課題に挑戦が必要とのことで、大きな技術変化は「熱対策」がきっかけで、必要な半導体は、低消費電力のMPUと高速かつ 低消費電力のメモリとなり、IDM が弱体化、水平分業が強大化している中で新技術の投資負担方法を考えていくべきで、その方法としてシェア上昇による規模の拡大や寡占化で、投資負担軽減を図って行くのが良いと述べられました。

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    つづいて、「産業革新機構の概 要と投資実績」と題し、小宮義 則氏(㈱産業革新機構 専務執行 役員)にご講演いただきました。

 ㈱産業革新機構  専務執行役員  小宮義則  氏

㈱産業革新機構 専務執行役員 小宮義則 氏

まず、㈱産業革新機構につい て、仕組み、基本方針、執行体 制、投資決定プロセス、投資基 準等の説明をされました。

   産業革新機構は、産業競争力 強化法に基づき、2009 年 7 月より運営開始し、法令に基づき運営期間は 15 年間と定められている株式会社で、政府出資、政府保証枠及び民間出資により総額約 2 兆円の投資能力を有し、新たな付加価値を創出する革新性を有する事業に対して投資を行い、15 年という運営期間の中で、比較的中長期のリスクマネ ーを提供し、投資事業の価値最大化につながる投資倍率を重視するとの説明がありました。
投資に際しては、アウトソースによる徹底した調査を行い、民間企業、民間ファンドと協業・協力を行い、また投資先には取締役派遣などを通じた経営参加型支援を実践されているとのことです。

簡素でフラットな執行体制で、外部のファンド、キャピタル、商社、メーカ、銀行、研究所等 からの出身者及び官庁から出向 者など多様な人材を確保し、現
在 120 名体制で進めています。 産業競争力強化法に基づき設置されている外部取締役 6 名+社長で構成される産業革新委員会が、最終的な投資決定を行うが、一定の要件を満たすベンチャー 案件については、より迅速な投 資決定プロセスを設定している との説明がありました。

オープンイノベーションを通 じて次世代の国富を担う産業を 創出するのが基本理念で、社会 ニーズへの対応、成長性、革新性の全ての基準に該当する対象事業で、業種・企業・製品・市場といった従来の枠を超えた新 たな付加価値の創出を目指し、 いわゆるムラ社会を打破して行 くとのことです。

投資対象となる事業ステージは、研究開発ステージにおける知財ファンドによる先端的な基礎技術の事業展開、製品化ステージにおけるベンチャー企業の 事業拡大、事業化ステージにおける事業部門・子会社の切り出し・再編、積極的な海外展開があげられ、投資対象となるセグメントは素材・化学、電子デバイス、産業機械、エネルギー、輸送・自動車など多岐にわたります。また投資案件に対する評 価軸は、収益性、実現可能性に投資インパクトを加えた 3 軸で、 特に投資インパクトを重視されています。

ベンチャー投資も積極的にやられており、2014 年 2 月 20 日 にまでの累計投資案件 57 件のうち 41 件と全体の 7 割超がベンチャー投資で金額ベースでも2 割がベンチャー投資となっており、特に 2013 年に入ってから増加しています。出資のみ 10 億円以下のベンチャー案件については、経済産業大臣等への手続き及び産業革新員会での決定義務を省くことで、ベンチャー支援の増大、判断の迅速化を図られているとのことです。

最後にこれまでの投資実績について説明されました。
ジャパ ンディスプレイ、ルネサスエレクトロニクスは良く知られてい ますが、エクスビジョン、セレブレクス、GENUSION、中村超硬、アルプス・グリーンデバイス、日本インター等の電子デバイス関連をはじめ多岐にわたる案件が紹介され、講演は終了となりました。

司会の小林鬨司  NEDIA 事務局次長

司会の小林鬨司 NEDIA 事務局次長

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司会の小林鬨司事務局次長から講師への御礼及び講師との名 刺交換を促す言葉で「第二回勉強会」は有益な講演を聞けたと いう雰囲気の中で終了しました。

 

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