「NEDIA Day 東北ふるかわ」
~ 電子デバイス産業が大きく発展する東北における産学連携の活性化 ~
開催報告

NEDIA理事・東北NEDIA代表  川添良幸

東北NEDIAにおける夏の定期イベントとして、NEDIA Day 東北を各地で開催してきましたが、今年度は7月12日(水)の午後一杯を使い、電子デバイス産業の重要拠点である東北で、新装完了したばかりの立派なアルプスアルパイン株式会社の仙台開発センター(古川)において経済産業省東北経済産業局の後援で「NEDIA Day 東北ふるかわ」を開催しました。

アフターコロナ新時代において電子デバイス産業は本格成長に転じ、更なる拡大が見込まれ、発展が期待される東北(古川)において、これからの新しい情報化社会を実現する電子デバイス産業の未来に続く発展をテーマに、東北に立地する有力な大学・電子デバイス企業及び全国的に著名なアナリストによる講演を主体に実施しました。

幸い、主催者側も入れて150名程が参集し、盛大な会となりました。セミナーの後、会場近くで90名程が参加して懇親会も開催しました。

NEDIA理事・東北NEDIA代表の川添良幸氏の挨拶、東北経済産業局地域経済部長小林和昭氏、大崎市長伊藤康志氏(副市長代読)、独立行政法人製品評価技術基盤機構(NITE)理事長の長谷川史彦氏の来賓挨拶に始まりました。

NITE理事長長谷川史彦氏の来賓挨拶

NITE理事長長谷川史彦氏の来賓挨拶

 

現役教授時代、世界最強の研究室と呼ばれた東北大学名誉教授、株式会社メムス・コアCTO 江刺正喜氏による「東北大学における半導体・MEMSの歴史、試作コインランドリ」と題する基調講演では、若い頃の「おたく」時代から、自分の好きなことをやって来たことをベースに、多くの共同研究者、企業との付き合いの上に築き上げた世界最高のMEMS技術とその幅広い応用の歴史を、多くの実施例に基づいて具体的に示されました。

今後の研究・業務にMEMSを活用することを考えている参加者には大変に参考になる講演でした。江刺研で世話になり、大成功した株式会社ティ・ディ・シー 代表取締役社長の赤羽優子氏は「ものづくり中小企業の産学連携活用事例」と題して、3代目社長として、先々代、先代から引き継いだアルミダイキャスト主体の業務を抜本的に改革し、大学の智恵とネットワークを活用することにより、世界一の表面研磨技術を実現し、はやぶさ2への機材搭載、仙台で行われたG7科学技術大臣会議での講演などの実現、さらには超勤もなく社長から社員までフラットな人員構成による新しい体制による企業成功例としての話題提供がなされ、他社への大きな刺激となりました。

赤羽優子氏の講演

赤羽優子氏の講演

 

この会の設定に一番関わって来た東北NEDIA副会長だったアルプスアルパイン株式会社代表取締役社長、CEO兼技術担当の泉英男氏による、「AlpsAlpineにおける今後の事業開発戦略と東北地域産学活性化活動状況」は、1948年に東京で開業した片岡電気株式会社から現在に至るまでの経緯に始まりました。

古川でのオリジナルな仕事は世界中に知られており、特に電子回路を操作する要であるロータリースイッチに始まるスイッチ類の開発・販売は世界一で、車載部品も数多く手がけていること、有名なゲーム機や車のコックピットに使われている振動フィードバックデバイスの生産も業界随一なこと等が紹介されました。

さらに、最近のタッチパネル類を含むソフトウェア化、システム化、モジュール化への進展が述べられました。ステーブジョブスが古川を訪れてマウスの製造が実現した、等の余り知られていないエピソードも披露されました。休憩を挟んで、NEDIA理事・副会長、株式会社産業タイムズ社代表取締役会長の泉谷渉氏が「半導体、電子部品関連の大型設備投資は今や北に向かっている!~人材、用地、大学のすべてで東北、北海道の新時代到来~」と題して、国際的な半導体製造発展の中での東北地区の位置づけの向上が急激に進んでいる実情を分かり易く、刺激的に語られました。NEDIA代表理事・会長の齋藤昇三氏の閉会の挨拶で講演会は全て無事に終了しました。

その後、場所を近くの結婚式場アインパルラ浦島に移し、新NEDIA理事・東北NEDIA副代表、アルプスアルパイン株式会社執行役員、コンポーネント2事業担当兼技術副担当 相原正巳 氏の挨拶で、交流会が始まり、泉谷副会長の司会で和やかに、しかし、講師陣を含め、内容のある交流時間を過ごすことが出来ました。

泉英男氏の講演

泉英男氏の講演

 

懇親会の様子。講師を囲んで話が弾んだ。

懇親会の様子。講師を囲んで話が弾んだ。