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■「電子デバイスセミナーやまがた」開催報告

理事・東北 NEDIA 代表    川添  良幸

 

  7 月 28 日午後 1 時半から、JR 山形駅に隣接したホテルが入った巨大ビルの中にある立派な施設、霞城セントラルの 3 階という好立地条件の山形市保健センター視聴覚室で「電子デバイスセミナーやまが た」を開催しました。

 今回は、NEDIA と山形県の共同主催という形で、山形県には、会場から当日の設営に至るまで全てにわたってお世話になりました。また、山形県半導体関連産業振興協議会には後援を いただき、大変に助かりました。おかげさまで国内企業、大学、官公庁から約 110 名の参加があり、山 形での最初の NEDIA セミナーとして大盛況でした。

 

  今回の「電子デバイスセミナーやまがた」は、東北 NEDIA が仙台で継続的に開催してきた「NEDIA Day 東北」を初めて場所を移動して開催する企画でした。

 山形県には、既に多くの電子デバイスメーカー、 装置・材料メーカー、IT 機器メーカーなど力のある企業が林立していますので、東北から新たな開発、 協業、起業などを巻き起こす運動を展開すべく今回のセミナー開催となりました。

参加者で一杯になったセミナー会場

参加者で一杯になったセミナー会場

 

  まず、山形県商工労働環境部長の大沢賢史氏の「グローバル化の中で山形の企業が発展するには、革 新的な技術開発の取り込みと、もの作りに携わる経営者、技術者、研究者の連繋が重要です。このセミ ナーがきっかけになることを期待します。」という内容のご挨拶に始まり、以下の 5 件の講演(基調講演1 件、特別講演 4 件)をいただきました。

  

1.基調講演「電子デバイスの設備投資拡大と山形エリアの重要性」

株式会社産業タイムズ社代表取締役社長 泉谷 渉氏

我が国は半導体立国と言われ、戦後の経済活性化の牽引役は常に半導体製造やそれを用いた各種デバ イスでした。しかし、ここに来て太陽電池や薄型大型テレビ、スマホなどの伸び悩みと中国・韓国への シフトに直面し、今後が懸念されています。しかし、この講演では、半導体の将来は明るく、その応用 範囲の自動運転自動車、宇宙航空や医療・ロボット分野が今後莫大な利益を生み、そのために山形県企 業も大いに設備拡大すべきであるという挑戦的内容でした。

2.特別講演 1.「汚染やダメージをいっさい与えない超高生産性製造装置による半導体デバイス製造」

東北大学名誉教授、新日本金属鉱業株式会社 技術顧問 大見 忠弘氏

シリコン技術の終焉が喧伝される中、新規材料の根本的進展も見られず、各種デバイスのクロックは

10 年以上にわたって向上せず、単なる並列化で姑息に乗り切っている。その現状を抜本的に改善する方 策として現在イレブンナインに止まっている結晶シリコンの純度を向上し、さらに結晶面として(551)面 を使い、現状の 100 倍の高速化が実現出来るという提案がなされました。

3.特別講演 2.「ソニーの CMOS イメージセンサの現状と将来像、

および山形テクノロジーセンターの   位置づけ」、

ソニーセミコンダクタ株式会社 執行役員 山形 TEC プレジデント 山口 宜洋氏

何気なく使っているスマホのカメラ。実は半分以上はソニーの画像処理センサー「CMOS イメージセ ンサー」です。超高密度で薄型の生産を実現し、ここまで世界市場を席巻することが出来ました。

 しか し、スマホの生産は伸び悩み状態。次の市場として、自動車の自動運転システム用途を挙げ、人間の目 の能力を超える性能の活用に今後の発展が期待されるとしました。

4.特別講演 3.「“QMONOS™”実用化への挑戦」、

Spiber 株式会社    取締役兼執行役 東 憲児氏

鶴岡市にある慶応義塾大学先端生命科学研究所の研究成果を企業化しようとして、若い卒業生が集まって 2007 年に始まったベンチャー企業ですが、既に 100 名近い社員、6000 平米以上の生産工場を有す る企業に成長しています。

 材料の進展を、金属からプラスチック、そしてタンパク質へととらえ、これ まで誰も成功したことのなかった、炭素繊維の 10 倍もの最強強度と伸縮性を併せ持つクモの糸をバイオ 技術を活用して人工合成し、商品化しています。

5.特別講演 4.「IoT/CPS 社会に向けた電子デバイス産業の戦略と山形企業への期待」

NEDIA 代表理事・会長 (株式会社東芝 常任顧問)、齋藤 昇三氏

NEDIA の発足経緯から現状に至る紹介に始まり、全ての電子機器をネットワーク化する IoT 技術とビ ッグデータなどの蓄積したサイバー空間と実世界の融合により社会の革新を図る CPS の統合により、日 本経済の閉塞感を抜本的に打開すべきであるという力強いメッセージが語られました。

 そのために必要 となる新規半導体デバイスの開発が急務であり、山形企業に大きなチャンスがあります。

 最後は、東北 NEDIA 代表の川添良幸氏による「今後、山形、東北、日本が一丸になって半導体デバ イス産業で将来を明るくしよう。」という閉会挨拶で、講演を締めくくりました。

 

 セミナー終了後、セミナー会場に直結した霞城セントラル 24 階にある山形市内を一望できるレストラ ン紅花樓で懇親会が開催されました。

 ちょうど雨が上がり、きれいな虹が見 えるという幸運にも恵まれ ました。

 80 名以上の参加があり、細谷知行山形県副知事と石黒覚山形県議会議員のお二方からの心強い ご支援のメッセージをいただき、山形県工業技術センター提供の他では呑めないおいしい日本酒を飲み交 わしながら、今後の山形地区での NEDIA の活動に関して山形県庁、企業、大学関係者の間で積極的な

議論がなされました。