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「材料部品部会第十四回勉強会」開催報告

 

司会:小林  事務局次長

司会:小林 事務局次長

 2017 年の年明けは、アメリカのトランプ大統領の就任、イギリスのEU離脱、中国情勢等による世界的な不安定要素が日本経 済に及ぼす影響も大いに懸念されます。このような混沌とした状 況の中で我々としては、今後どのような戦略的、技術的対応をす ればよいのかヒントになりそうなテーマを選定しました。 今回の勉強会は、従来使用してきました御茶ノ水めっきセンター ではなく早稲田大学の会議室を使わせていただき、雰囲気の変わ った場所で 31 名の参加で開催しました。

日時  2017 年 3 月 15 日(水) 13:00-16:20

場所  早稲田大学 55 号館 N 棟第 2 会議室

インターコネクション・テクノロジーズ㈱  代表取締役  宇都宮  氏

インターコネクション・テクノロジーズ㈱ 代表取締役 宇都宮 氏

 (1)「ヘテロジーニアス・インテグレーション動向

~複合技術を用いた半導体パッケージ~」

 最初にインターコネクション・テクノロジーズ㈱代表取締役の宇都宮久彦氏にご講演いただきました。

 最初に、マイクロエレクトロニクスによるスマート・エ ブリシングが進んでおり、データ量も加速度的に増大し つつあり、産業界は性能密度を推進してきたが、集積の中枢であるムーアの法則は半導体のコスト低減が 20nm あたりで頭打ちとなっており、ムーアの法則も終焉を迎えたと考えられると述べられました。 モア・ザン・ムーアとしてヘテロジーニアス・インテグレーションが重要であり、そのための チップ積層技術、高バンド幅メモリの実現等の具体的技術の解説をされ、今後の課題も示され ました。日頃あまり目にしない資料で説明いただき、非常に興味深い講演でした。

古河電工㈱  コンテンツ開発課  課長  稲垣  氏

古河電工㈱ コンテンツ開発課 課長 稲垣 氏

(2)「サーマル製品の技術紹介~放熱技術の基礎と事例のご紹介~」

 続いて、古河電工㈱サーマル・電子部品事業部門 開発部 コンテンツ開発課 課長の稲垣義勝氏にご講演い ただきました。

 まず古河電工㈱で精銅のカテゴリの中で ヒートパイプを使い様々なサーマルソリューションを 展開していると紹介され、続いて物質の熱伝導の仕組み ヒートパイプの作動原理・熱輸送量、効率的な使用法及び基本的な放熱部品・デバイスについて説明されました さらにハイブリッドヒートパイプ、薄型焼結ヒートパイプ、細径ヒートパイプ、ペーパーチャンバーなど各種のヒートパイプの動向を説明され、ノー ト PC・モバイル機器、サーバー、パワーデバイス用、各種の家電製品・事務機器等の様々な 機器で使用されており、小型、薄型、軽量化などのニーズに向けて取り組んでいくと述べられ ました。ヒートパイプがこれだけ幅広く使われているとのことで、一つの驚きの講演でした。

早稲田大学  創造理工学部  教授  所  氏

早稲田大学 創造理工学部 教授 所 氏

(3)「都市鉱山利用に寄与する個体分離技術」

 最後は、早稲田大学 理工学術院 創造理工学部 環境資源工学科 教授の所 千晴氏にご講演いただきました。

 まず、最近の金属資源回収を取り巻く社会的状況につい て、金属資源の消費量の増加、金鉱石中の金の品位の低 下傾向、多種多様な金属を精錬で副産物として回収していること、産業競争力の向上に不可欠なレアメタルの確保のための戦略的取り組みの必要性などを説明されました。

 続いて、スマートフォンと携帯電話から有用金属を回収する技術について、携帯電話の組 成とリサイクルによる資源性を示され、リサイクルフロー中で重要な粉砕の工程について、新 考案のドラム型衝撃式破砕機の実験を行い有効であるとのデータを示され、その現象の物理的 解析も紹介されました。

 また、リチウムイオン電池の加熱及び磁選でレアメタルを効果的に取 り出す技術を説明されました。今後のレアメタル確保が期待される講演でした。